d3392-147-486297-0


1: 2017/05/03(水) 17:11:59.85 ID:CAP_USER9
 国民的スケーター「浅田真央」が現役引退を表明してから、3週間余が過ぎた。愛知県県民栄誉賞を受賞し、ウォーターサーバーのブランドパートナーにも就任。その存在の大きさは日に日に大きくなるばかりだ。

 4月24日に緊急発売されたAERA増刊「浅田真央 すべてを抱きしめたい。」(朝日新聞出版)は、彼女のスケート人生を名シーンと厳選記事で振り返る保存版。巻末では、浅田が引退記者会見で唯一、憧れの人として名前を挙げた伊藤みどりが、同じジャンプをきわめたからこそわかる「浅田真央がトリプルアクセルを跳び続けた理由」について語っている。

*  *  *
 浅田真央といえば、トリプルアクセル。私が1988年に世界の女子選手で初めて成功させたジャンプで、元は私の代名詞。真央が受け継いで、跳び続けてくれました。本当に誇らしいことです。

 女子にとってトリプルアクセルは、他の誰もやっていない、自分だけがアピールできるジャンプです。他の誰もやらないことに自分だけが挑戦できる。アスリートとして、こんな幸せなことはありません。強いモチベーションを維持できるし、達成感や充実感もひしひしと感じることができます。

 真央にとってもトリプルアクセルは「自分らしくあるために必要なもの」だったと思います。トリプルアクセルを決めることが、イコール自分のべストを尽くすこと。その戦い方こそが、真央の必勝法でした。

 でも、いまのルールでは女子はトリプルアクセルがなくても勝てる。むしろ「3回転+3回転」の連続ジャンプをきれいに決めればトリプルアクセルはいらない、というのが「勝ち方のセオリー」になっています。トリプルアクセルは8.5点で、「3回転ルッツ+3回転トウループ」は10.3点ですから。現世界女王のエフゲニア・メドベジェワ(ロシア)も、トリプルアクセルなしで世界最高点を塗り替えました。女子にとっては難易度のわりに得点が低い。だから誰もやろうとしないんです。

 それでも真央は、トリプルアクセルを跳ぶことを選んでくれました。すごいことです。得点が高いから、跳べば勝てるから、跳ぶんじゃない。真央の戦い方は、「誰もやらないことをやる」。自分を自分で鼓舞する生き方をみせてくれました。その心意気こそが、真央のスケートだったと思います。だからこそ真央の演技は、世界中が応援する、心に残るものでした。

 5歳でスケートを始めてから21年。真央を支えてきたのは「負けず嫌い」の精神でしょう。真央と私では、真央のほうが負けず嫌いですね。私には、トリプルアクセルの調子が悪ければ跳ばないという選択肢がありました。でも、真央は絶対にトリプルアクセルを跳びましたよね。どんな状況でも試合になると気合を入れて、とにかく跳ぶ。「トリプルアクセルやりたい度」を数値にしたら、私が70で真央が90くらいでしょうか。

 7人の女子がトリプルアクセルを成功させていますが、オリンピックで成功させたのは私と真央だけです。4年に1度の人生の大舞台で成功させるとなると、ハードルが上がります。本番は回避するか、そもそもオリンピックのチャンスに恵まれないか。

 私はアルベールビル五輪のフリーで1本目を失敗し、もう一度挑戦して成功。ミスなんてすべて忘れて、本当にうれしかった。真央は、バンクーバー五輪で3本すべて降りました。これは尋常ならぬ快挙。19歳で身体も絶好調でしたが、真央の「やりたいものは、やりたい」という強い気持ちがなければできなかったと思います。

 私が真央につないだトリプルアクセルのバトンは、日本の女子選手の誰かに受け継いでほしい。できることなら、日本の「お家芸」にしてほしいです。昨年は、ジュニアの紀平梨花(14)が成功させました。1人がやりだすとその世代のみんなが挑戦するものです。日本女子が競い合って、トリプルアクセルに挑んでほしい。

 真央には、「トリプルアクセルを受け継いでくれて、本当にありがとう」と言いたい。真央がトリプルアクセルと向き合った精神は、必ず次の人生でも、壁にあたった時に自分の支えになるはずです。挑戦し続けた自信を胸に、これからも真央らしく輝いてね。

(構成/ライター・野口美恵)


更新 2017/5/3 07:00
https://dot.asahi.com/aera/2017050200038.html
no title

no title

【【フィギュアスケート】伊藤みどりが語る「真央と私のトリプルアクセル」】の続きを読む